総務省が家庭(家計)の収入、借金(負債)、持ち家状況などの統計データをまとめています。
そのデータを見ていると中流家庭の住宅ローン問題、俗にいう「中流家地獄」問題が見えてきます。
「中流家地獄」問題がどんなものか、見ていきましょう。
日本の世帯別年収を5つに分類すると
日本の世帯別の年収を5つの階層に分解しています(5分位分析)。
平均が715万円で一般的なイメージより高い印象を受けますが、これは世帯別年収だからです。
夫婦で共働きの場合は、夫の年収+妻の年収になるので2人分以上の収入が合算されていると思ってください。あくまで家族(世帯)単位の年収ですね。
この世帯別年収の下位20%は345万円となっており、非常に厳しい結果です。
俗にいう下流家庭に分類されるでしょう。ただ、地方で生活コストが安く、兼業農家のような形で現金収入以外の生活必需品が手に入れば、生活は豊かになる可能性もあるので例外もあるとは思います。
ただ、まあ、都市圏では苦しい生活をしている人が多いと思います。
世帯別年収から見た持ち家比率
次に世帯別年収から見た持ち家比率を確認しましょう。
平均で77%が持ち家(マイホーム)を持っている家庭になります。
下位20%は62.8%となっており、意外と持っているようですが、おそらく引退した老人世帯の持ち家比率の高さが押し上げていると思います。
老人世帯は、現役時に家を買って、今は年金暮らしだから収入が少ない(下位20%)が、家は持っているって状態になりそうです。
収入別の住宅ローン借入額
収入別の住宅ローンの借入額です。
下位20%の世帯は年収が少ないので、住宅ローンの借り入れも少ないですね。持ち家比率の小ささも借入額の低さにつながっていそうです。
逆に下位40%(5分位の20%~40%)以上の層は、大体同じような金額を借り入れています。
これが、中流家庭の重い住宅ローン負担(中流家地獄)につながります。
収入と住宅ローンの比率
住宅ローンの金額をその世帯収入で割った数字をグラフにしました。
中流層とそのやや下層に、極めて住宅ローン負担が重い世帯の存在が確認できます。
世帯収入の1.2倍から1.3倍くらいでは大したことがないって思う人がいるかも知れませんが、これはあくまで平均値です。賃貸に住んでいる人などは含まれていません。
そのため、中流層で実際に住宅ローンを借りている人の負担は、非常に重いものになっています。
住宅ローンという数十年単位で発生し続ける固定費の負担が重いため、
- 健康上の理由で仕事が出来なくなった
- 会社がつぶれた
- 親の介護で仕事が続けられない
など、トラブルに極めて弱い家計構造になっています。
そして、トラブルが起きると真っ先に住宅を手放す必要が出るものの、新築で買った住宅の価格低下スピードは速く、売ったからと言って住宅ローンが残ることになります。
手元に何も残らず、住宅ローンの残骸だけが残る、中流家地獄の極めて不幸な結末です。