自己破産をするかどうかを迷っている場合、職業の制約などがある「破産者」状態からいつ復帰できるのか、が心配でなかなか踏み出せないって人も多いです。
一度破産者になったら、ずっと破産者のままなのでしょうか?
自己破産とは個人の再出発を応援する制度なので、当然ずっと破産者のままってことはありません。
むしろ、破産者でいる期間は、多くの場合は3か月~6か月程度とかなり短いです。
破産者から復帰することを復権と呼びますが、今回はそれをテーマにします。
Contents
復権までの流れ
免責許可による復権なら破産者となるのは3か月から1年程度
破産者でいる期間は短い
まず最初に知っていただきたいのは破産者とはなにか?についてです。
誤解されやすいのですが、自己破産をしたら破産者というわけではありません。
下の自己破産の流れを示したグラフを見てください。
借金が苦しいって人が、自己破産しようって考えて手続きを開始するまでは破産者ではなりません。
破産者となるのは、破産手続き開始決定から免責確定までの期間だけです。
破産者となる期間は、以下のような期間です。
破産者となる期間
- 同時廃止による自己破産を選んだ場合は3か月から6か月間
- 管財事件による自己破産を選んだ場合は6か月以上(1年超かかる場合もある)
すると、破産者になるのは3か月から1年程度というわけですね。
免責で借金がなくなればもはや破産者ではない
自己破産の手続きを裁判所に対して申し立てると、3ヶ月〜6ヶ月程度で「免責(めんせき)」の決定が裁判所から出されることになります。
※通常、自己破産の手続きを裁判所に認めてもらう事ができれば、9割以上のケースで免責が認められます
こうなればもう、破産者ではなくなります。
破産者として肩身が狭い思いをする期間は意外と短く、3か月~1年程度なわけですね。
この期間が終われば、職業の選択の不自由・資格制限もなくなるので、就職に制約もなくなります。
これによって、破産者から復帰できた、復権したということになります。
免責不許可の場合
免責許可なら大抵3~6か月長くて1年程度で破産者から復権できることが分かりました。
しかし、免責が不許可になった場合は、どれくらいで復権できるのでしょうか?
免責が不許可になった場合、個人再生手続きに移行するケースと、債務整理自体をやめてしまう場合に分かれます。
個人再生手続きに移行する場合は1年程度で復権
個人再生手続きは、1年程度で再生認可が下りる、復権も1年程度かかると考えるのが良いでしょう。
自己破産より時間はかかるものの、1年程度なら問題ない水準ですね。
債務整理自体をやめてしまった場合、10年で復権
債務整理をやめてしまった場合、自己破産開始の手続きから10年たってやっと復権となります。
10年はかなりの長さなので、免責不許可になったら個人再生手続きに移行したいですね。
すべての債務がなくなって復権
自己破産を検討するまで追い込まれた人の場合、可能性は低いのですが、すべての債務がなくなったとしたら復権となります。
その場合、すべての債務がなくなったことを裁判所に申し出ることで、復権となります。
復権する前は破産者名簿に載る。しかし心配無用。
自己破産を躊躇する理由の一つが「破産者名簿に自分の名前や住所が載ってしまう」ということではないでしょうか。
「自己破産からすぐ復権できることは分かったけど、そもそも自己破産したってバレたくない」って人は多いでしょう。
特に親戚や職場の人には自己破産をしたことはできれば知られたくないですよね。
結論から言うと、破産者名簿をあなた以外の第三者が見ることは法律上できません(ただし、「官報」に関しては誰でも閲覧することができます)
たしかに、2005年以前は破産者の期間が、破産者名簿に名前が載るという規定でした。
しかし、2005年に破産法が改正されます。
この破産法の改正により、破産者だからと言って破産者名簿に名前が載るわけではない、という規定になります。
現在では、破産者名簿に名前が載るのは、破産手続きを開始したのに借金の免責が認めてもらえなかった人が、破産者名簿に名前が載ります。
免責の決定が出るとすべての借金が帳消しになりますが、場合によっては「自己破産手続きは行ったけれど、結果的に免責決定は出なかった」という状況になる事があってことですね。
このような場合には「破産者名簿」という名簿に名前や氏名が記録される事になるのです。
上記の通り9割上のケースで免責決定がおりますので、結果として「一度も破産者名簿に載る事なく自己破産手続きが完了する」というケースがほとんどということができます。
仮にギャンブルの借金でも自己破産できるくらいですから、破産手続きを開始しても破産者名簿には名前が載らないことがほとんどと思ってよいでしょう。
そもそも破産者名簿から自己破産はバレない
そもそもの話に戻れば、破産者名簿を一般の人が見ることはありません。
破産者名簿は一般の人が閲覧する事はできないのです(一般の人が閲覧する事ができるのは、後で説明するように「官報」です)
破産者名簿が必要な理由は、一定の職業(税理士や行政書士など)に登録するときに、所轄官庁が破産者に該当していないかどうかをチェックする必要があるためです。
世の中には、先ほどの税理士、行政書士のほかに、弁護士、不動産鑑定士、宅地建物取扱業者主任、生命保険募集人、損害保険代理店など、信用が必要な仕事、お金を取り扱う仕事があります。こうした信用が問われる職業に破産者が就くことが無いように、官公庁のチェックに使われるのが、破産者名簿ってことですね。
復権についてのまとめ
以上、自己破産をした場合の復権について解説させて頂きました。
ポイントとしては、
- 自己破産で免責されれば、破産者になる期間は3か月から1年程度と短い
- 免責不許可になっても、個人再生に移行すれば1年程度で復権できる。
- 破産者になっても9割以上の人が、破産者名簿には載らない
- 破産者名簿に載っても、一定の職業(税理士や行政書士、警備員など)についている人以外は気にする必要はあまりない。
- これらの職業に現在ついている人であっても、自己破産の手続きが完了して免責が出れば破産者名簿からは復権(破産者名簿からの復帰(記録抹消))しますので、問題なく仕事を続けられる場合がほとんど。
以上になります。