自己破産をしたら、手続きの中で意外な疑問に遭遇してしまっては困ります。
手続き前にできるだけ不安なところは解消しておきたいですよね。
今回は自己破産と銀行の通帳の関係について考えてみましょう。実は自己破産と銀行通帳は切っても切れない関係だとご存知ですか?
自己破産にまつわる銀行通帳の疑問にお答えします。
自己破産の基礎知識を確認したい人は下の記事を見てください。
自己破産には銀行通帳が必要って本当?
自己破産手続きにはいくつか必須ともいえる書類があります。
その中で意外なものといえばやはり銀行通帳です。
自己破産というと法的な手続きで、とても難しい申請書類を記載することが必要になるだろう、手続き中も専門用語が飛び交い、書類作成も専門的で難しいですが、銀行通帳など意外と身近なものも必要だったりします。
なぜ銀行通帳が必要か
銀行通帳といえば生活の必需品、まさに普段の生活に密着したものですよね。
なぜ自己破産の手続きで銀行通帳が必要になるかというと、答えは簡単です。
銀行通帳にはその人の生活やお金の使い方がそのまま記録されているからです。
お給料があれば銀行通帳に記録が残りますし、公共料金の引き落としだってばっちり残っています。クレジットカードを使えばカードの利用代が口座から引き落とされる関係で通帳に記載されます。
この他に、月々の保険料や各種の税金なども銀行通帳に記帳されます。
銀行通帳を見ればその人のプラスとマイナス、そしてお金の使い方までわかるわけですね。
自己破産はとても難しい法的な書類が飛び交うのではないかと思いきや、決してそれだけではありません。
自己破産はお金に関する手続きであり、破産するということはお金の使い方に問題がなかったかも考えなければいけません。また、債務を返済するだけの財産があれば自己破産せずにきちんと借金をその財産で返してくださいという話になります。
自己破産における財産調査という点でも預金通帳は必須なのです。
通帳を隠したらどうなるの?財産隠しと見なされることも
自己破産手続きでは、自分が有している銀行口座の通帳のコピーが必要になります。
「銀行じゃなくて信用金庫だから出さなくてOK?」というわけではありません。
お金を貯める口座、引き落としなどに使っている口座など、用途に関係なくとにかく、自分の口座開設している銀行や信用金庫の通帳の写しは必要になります。
また、通帳は最後の頁だけでなく、基本は二年分ほどの期間の写しが必要です。ずっと取引のない銀行であっても写しは必要です。
裁判所での手続きの中でこうした通帳の写しから「財産を隠していないか」「自己破産を認めるべきか」を見ていくわけですね。
もし自分の財産を知られたくなくて通帳を隠してしまったら、これは財産隠しと同じことになります。自己破産の免責不許可事由に該当する可能性があります「関連記事:自己破産ができない要注意ケース!免責不許可事由があると失敗することも」。
自己破産は借金を綺麗に清算してやり直すための手続きです。同時に、お金を貸した側には「貸した分をきちんと返してもらえない」というダメージがあります。隠さずにきちんと明らかにしなければいけません。
自己破産が認められた後に財産隠しがわかった場合には、破産詐欺罪の適用やせっかくの免責が取り消しになる可能性もあるので注意が必要です。
悪意が無くても危ないケース:残高ゼロの預金口座
残高がゼロの銀行口座を持っている人も多いと思います。
本人は使っていないから、自己破産を申請するときも提出しなくて良いって思いがちですが、実はこれが大間違い。
全く使っていなくて残高がゼロの銀行通帳のコピーもきちんと提出してください。
悪意が無くても隠したって扱いにされる恐れがあります。
純粋に通帳を紛失した場合はどうすればいいの?
銀行の通帳が自己破産手続きに必須だとすれば、通帳を紛失してしまっていたら、そもそも手続き自体ができなくなってしまうのでしょうか。
これに関しては特に問題ありません。財産を隠すために通帳を失くしたなら問題がありますが、口座は確かにあるのだけれど通帳を紛失してしまった、うっかり処分してしまったということは十分にあり得ることです。
紛失や処分の場合は、それぞれの銀行で取引記録を取得します。
基本は通帳の写しではあるのですが、金融機関にはきちんと取引の記録が残っていますので「失くした、どうしよう!」という場合は、手続きをして取引記録を取得するようにしましょう。
もし心配なら弁護士に「失くしてしまいました」と相談するのがいいですね。弁護士は通帳を失くしたケースの手続きにも精通していますから、必要な手続きまでアドバイスをしてくれることでしょう。
通帳が無くても自己破産手続きを進めることができるので大丈夫です
そもそもネットバンクで通帳が無い場合は?
世の中の銀行には通帳がある銀行だけではありません。そもそも通帳自体を発行していないこともあります。
ネットバンクなどはインターネット上で履歴を見られることもあり、通帳を発行していないケースがあります。
最近ではメガバンクも電子化を進めて、通帳を廃止する動きもあります。
そういった通帳がない金融機関を使っていても、もちろん自己破産手続きはもちろん可能です。
ネットバンクではインターネット上から取引明細がダウンロードできることがありますので、もしダウンロード可能であれば「基本は二年分」を念頭にダウンロードしてください。
もしダウンロードができなければ、ネットバンクに連絡を取り明細を取得するようにしましょう。
自己破産中に通帳(銀行口座)を解約できる?
では、今度は、自己破産の手続き中に銀行の口座を動かせるかどうかという疑問です。
動かすとは、主に解約できるかどうかという話です。自己破産の申請をする場合、預金残高を動かすとやはり「そのお金はどうなったの」という話になります。
使わない預金であれば一円も残高が動いてしまわないように解約してしまうのがいいのではないかと思うかもしれません。
確かに、まったく使っていない口座は解約してしまえばカードや通帳が減ってお財布が身軽になりますし、通帳の頁に「解約」という文言が出るなど、解約したことが明確にわかりますので、残高が動くたびに記帳する必要がなくなります。
しかし、自己破産の手続き中に口座の解約をすると、あらぬ誤解のもとです。解約自体はできますが、できれば自己破産をする前に使わない口座はすっきりと解約しておいた方がいいでしょう。
まとめ
自己破産では、お金の動きがわかる預金通帳は手続き上とても重要な役割を果たします。
通帳がなければ手続きできないというわけではなく、銀行から利用明細を取得して対応することもできますので、大変だと大騒ぎする必要はありません。
通帳も含めた自己破産の疑問点については、実際に自己破産手続きをする前に弁護士に相談してすっきり解決しておくようにすると安心ですね。