おそらく堂々と「私は自己破産しました」と知られたい人はいないでしょう。
それが結婚相手ならなおさらです。借金で困ったことは知られたくない!
そもそも自己破産手続きは相手に内緒にできるのでしょうか。また、苗字を変えてしまえば、自己破産記録を見られてもわからないものなのでしょうか。
自己破産しても結婚できる?
まず、自己破産と結婚について考えてみましょう。
結論から言うと、自己破産しても問題なく結婚することができます。なぜなら、自己破産という手続きと結婚はまったく関係のない問題だからです。
結婚は身分行為といって、家族関係の取得や消滅をもたらすための手続きです。自己破産はある一人の借金を整理してすっきりし、ここから新たにはじめようという手続きです。二つの手続きはまったく性質が異なっているのです。
ですから、自己破産をすると結婚に制限がでるということはありませんので心配する必要はありません。また、結婚したからといって相手が何か影響を受けるというわけでもありません。
自己破産していても、警察官や銀行員と結婚できる?
警察官や銀行員との結婚は昔から身辺調査があると言われています。確かに自己破産をすれば一定の職業に就くことが制限されるというデメリットがあるため、結婚にも影響が出るのではと心配になりますね。
しかし、こちらに関しても特に心配する必要はありません。
確かに本人の自己破産が就職に影響する可能性は否定できません。
国の治安や情報に関わる仕事、そして多額のお金に関わる仕事であれば、就職先の方針で採用を見送られるということもあるようです。
しかし、結婚相手に対してもそこまで厳しいかというと、決してそうではありません。
警察官との結婚は、親族に特定の団体や前科がある者がいないかどうか簡単に確認されることはあるようです。具体的にどこまで確認されるかは地方警察ごとによって異なっており、「こういなければいけない」という決まりはありません。
ですから、結婚相手に対して「自己破産しているから結婚は駄目」ということはありません。前科があったら問題になることは多いようですが、自己破産は前科ではありませんのでそんなにびくびくする必要はありません。
また、銀行員も、自分の自己破産や金銭関係の犯罪において前科があることは採用見送りの理由になることがあります。
しかし自己破産をしているから結婚は駄目と言われることはまずありません。
ただ、奥さんが銀行に勤めていて、奥さんの勤め先に自己破産歴の夫名義でローンの申し込みをすると自己破産歴自体は基本的にバレてしまいますので、その点だけは注意が必要です。
自己破産したことが、結婚するとき相手や親族にバレる?
結婚を控えている時に自己破産をしても、当たり前のように相手にバレるということはありません。
なぜなら、結婚相手に「あなたの将来の旦那さん(奥さん)が自己破産しました」という通知が行くことがないからです。自己破産は極めて個人的な手続きですから、あくまで自己破産をする本人の問題になります。
当然に婚約者や恋人にバレるということはないのです。
しかし、気をつけなければならないのは、
・相手方が身辺調査をする
・結婚後すぐに住宅や車の取得を考えている
という2つのパターンの時です。この3つのケースにおいて、隠したい自己破産歴がバレてしまうことがあります。
基本はバレない!ただし行動次第で知られることも
同棲しているのであれば、自己破産の手続き書類が裁判所や法律事務所から送られてきた結果として、自己破産バレすることがあります。
当然ですが裁判所や法律事務所も手続き内容、そして個人の情報は見えないようにしっかりとした封書を使います。しかし、中身が見えなくても、頻繁に法律事務所や裁判所とやり取りしているとバレてしまうことがあります。そこは法律事務所や裁判所とのやり取りを考えて進めるしかありません。
相手方のご両親が身辺調査をすることによって知られてしまう可能性があります。
裁判所や法律事務所とやり取りをしていても、事務所や裁判所が情報を漏らすことはありません。ただ、自己破産をすると官報に掲載されるため、興信所が見つける可能性があるのです。
結婚後のローン・クレジットカード・家賃での自己破産バレも
ローンの申し込みによっても自己破産した過去を可能性があります。
例えば結婚後にすぐに新居に住みたくて将来の旦那さん名義で住宅ローンを組もうとしたとします。住宅ローンで審査落ちをするとただ「審査に落ちました」ということが告げられるだけで、なぜ審査落ちしたかまで教えてもらうことはできません。
婚約者にも自己破産が審査落ちの理由だということが知られることはありません。だったらどうして自己破産がバレるの?と思いますよね。
住宅ローンだけでなく、マイカーローンやカードローンの審査でも金融機関は信用情報を参照します。また、クレジットカード契約を結ぼうとしても、自己破産に関する情報を見られてしまいます。
こういった金融サービスの審査上で得た情報を金融機関は一切他に漏らすことはありません。ですが、ローンやクレジットカードの申し込みが審査落ちばかりだと結婚相手が不信感を抱くということはあります。その不信感から「どうしてクレジットカードもローンも全部落ちるの?」と尋ねた結果、うっかり自己破産の過去が明るみになることが。
先の例で考えれば、仕事もばりばりしていて勤続年齢もそれなりに長く、しかも収入もよい未来の旦那さんがローンで審査落ちしたことを不思議に思った将来の奥さんが、不信感からあれこれ質問をして、自己破産の過去を知られてしまうということもあり得るということです。
金融機関側からは「過去に自己破産しているでしょ」と暴露されることはありませんが、うっかり自分自身で漏らしてしまわないように注意する必要があります。
会話から自己破産バレする可能性がありますので要注意です。
結婚後に家族に内緒で自己破産するコツ
これまで結婚と自己破産の関係について説明してきましたが、ここですでに結婚している人が家族に内緒で自己破産する方法を見ておきましょう。
自己破産は裁判所に出頭する必要があるので、任意整理「家族に内緒で債務整理した体験談」と比べると多少は家族にバレやすいです。
裁判所から直接郵便物が届いてしまうのがリスクです。
うまくごまかせるって人は、自己破産しても大丈夫ですが・・・
あと、危ないのが身内が連帯保証人のケースですね。多重債務者の方は身内を保証人にしていることは少ないですが、事業関連の借金とかだと家族や親せきに保証人になってもらっているケースが多いですからね。
自己破産はすべての債務者を平等に扱わないといけないので、連帯保証人に確実に迷惑が掛かります。
そうすると怒った連帯保証人があなたや家族に文句を言ってくる可能性が高いです。
そうなれば当然、自己破産したことが家族にバレてしまいます。
詳しくは「連帯保証人に迷惑をかけないで債務整理する方法」を参照してください。
絶対に家族にバレたくないって人は、弁護士や司法書士(借金の金額にもよるが基本は弁護士に相談したほうが安全、司法書士だと受任できない場合がある)に相談して任意整理などバレにくい債務整理手段をとってください。
結婚で名字が変わると、ブラックリストから抜け出せるの?
結婚すると男女どちらかの姓が変わることになります。現状、日本では女性側が姓を変えることが多いです。姓が変わると、旧姓で登録されているブラック情報からは抜け出せるのではないか?情報を追うことはできないのではないか?と思いますよね。これは甘い考えです。
確かに姓が変わると確かに旧姓のデータを名前から呼び出すことはできないため、ブラック情報をすぐに引き出すことは難しくなります。しかし、金融機関は結婚で姓名が変わることがあるという事情など考慮の上です。
その人のデータが真っ白であれば「ご結婚なさったようですね?旧姓を教えてください」とすぐに確認があります。
また、別に名前が変わってしまっても住所や電話番号、生年月日など他に照合可能なデータはたくさんあります。旧姓時のデータを引き出す方法などいくらでもあるわけです。
当然ですが名前が変わったからといって過去は変わりません。ブラックリストから抜け出せるわけでもありません。データを引き出す手間が少し余計にかかるだけで、金融機関はしっかり自己破産の記録を知ることができます。
姓が変わってもまったく変わらない。
これは覚えておいた方がよさそうですね。
名字が変わると、また自己破産できる?
自己破産に回数制限はありませんが、前回の自己破産で免責を受けてから7年経過していないと再び自己破産をすることはできません。
姓が変わると今までの自分の名前とは違う新しい名前の存在になることから、7年経過していなくてもまた自己破産できてしまうのでは?と考えてしまうかもしれません。しかし、これも甘い考えです。
自己破産は裁判所での手続きですから、裁判所側はしっかり手続きする上で確認します。
姓が変わったことはあっさりばれてしまいます。
もし姓が変わってしまっただけで自己破産ができるということであれば、悪い人がお金をどんどん借りて自己破産手続きをするという流れで利用してしまいますよね。
そんなに簡単にはいきません。
結論としては、自己破産は結婚手続きとけ結婚相手にはほぼ影響しないけれど、姓が変わったからといって自分の歴史は変えようがなく、歴史はどこまでのついて回りますよということです。
自己破産は多重債務で苦しむ人の救いともいえる制度ですが、自己破産するかどうかの前にきちんと知識は得ておきたいですね。もし不安があれば、自己破産の専門家である弁護士に相談するのがいいでしょう。
まとめ
自己破産は結婚とは関係のない手続きです。ですから、自己破産歴があるからといってあまり気にする必要はありません。ただし自己破産を知られたくないということであれば注意が必要です。
ローン申請やクレジットカードの申し込みであまりに審査落ちの連続だと相手に不審がられる可能性があります。何より自己破産は官報に住所と氏名が掲載されますので、掲載内容から相手にあっさり知られてしまう可能性も否定できません。
自己破産した過去を知られたくないということであればこれらの点に注意した方がいいでしょう。
もしくは、自分から自己破産の過去を打ち明けてしまい、その上できちんと関係を築けるなら、それに越したことはないかもしれないですね。