もし学生が借金に苦しんでいたとしたら・・・
学生は収入が少なく、借金の返済計画が立てにくいです。
そのため、任意整理などの債権者と交渉して債務整理をするのは困難を伴います。
債権者も安定した収入が無い学生相手には、債務整理を認めたがりません。
そのため、自己破産を検討することになります。しかし、自己破産をする(破産者になる)と、学生につきものの就職活動で不利に扱われることが懸念されます。
こうした悩みは学生だけでなく、転職を考えている社会人にとっても同じでしょう。
「賞罰」欄には自己破産の申告はいらない
就職活動で企業に提出する履歴書には「賞罰」という欄がありますよね。
この賞罰に自己破産を行なった履歴を記載する必要があるのか心配という方もおられるのではないでしょうか。
結論から言うと、この履歴書の賞罰欄に過去に自己破産を行なった事実を記載する義務はありません。
また、企業側が調査を行って自己破産の事実を知られてしまうということもよほどのことがない限りないでしょう(「よほどのこと」の内容は以下で解説しています)
就職活動に自己破産は影響するのか?
民間企業への就職の場合は企業側が自己破産について調査するというケースはほとんど考えられません。
民間企業が自発的にあなたの自己破産の情報を調べる手段としては後述の官報関連の情報しかなく、1ヶ月以上過去の情報を調べるためには料金が発生するためです。
一方で影響がある可能性があるのは公務員への就職活動です。
官報の情報は何らかの形で採用を行う官庁や地方自治体側で共有されている可能性が高いためです。
もちろん法律上の受験資格としては自己破産を過去に行っていたとしても問題はありませんが、採用の担当者があなたの自己破産の情報を知ったときにどのような評価をするかは考えておく必要があります。
特に警察官などの治安に関する職については、職業の性質上、過去の犯罪歴や自己破産の履歴が採用活動にある程度影響が出てしまうのはやむをえないでしょう。
公務員の自己破産に関する記事
人事担当者は信用情報機関の情報を検索できない
「自己破産を行うとブラックリストに載せられてしまう」という話はよく聞きますよね。
確かに、自己破産などの債務整理を行うと金融機関の情報ネットワークである「信用情報機関」でブラックリスト登録されます。
信用情報機関の情報ではあなたの氏名や住所、どのような形で債務整理を行ったか、当時の借金の金額などをすべて知ることができます。
ですが、こうした信用調査情報を知ることができるのはあなた自身の他には金融機関(消費者金融や銀行など)の審査担当者だけです。
そのため、銀行、保険会社などの金融機関であろうと、人事担当者が信用情報をあなたの見ることはないでしょう。
他人である企業の人事担当者などがあなたに代わって信用情報機関の情報を検索するということはできません。
また、信用情報機関のブラックリスト情報は10年間で抹消されます。ブラックリストの登録期間が終了した後であれば住宅ローンの審査などでも問題なく受けることが可能になります。
転職活動などで過去の自己破産歴が気になっている人も、10年以上前の事なら信用情報から破産歴をたどることはできないので安心して大丈夫です。
銀行やクレジットカード会社などに就職・転職したい場合
普通の企業はあなたが自己破産したとしてもその情報を見ることはできませんが、銀行・クレジットカード会社・消費者金融などの金融機関は別です。
彼らは信用保証機関のメンバーなので、あなたがブラックリストに載っているかどうか調べることが出来ます。
ただ、実際に就職・転職希望者の個人情報を、信用保証機関から調べるってことは普通はやりません。
とはいえ、わざわざ自己破産したことがばれるリスクがある金融機関へ就職や転職を目指すことは、避けた方が無難でしょう。
人事担当者に官報を検索されて自己破産がバレてしまう?
自己破産を行うと、官報(政府が発効している新聞のようなもの)に氏名と住所が記載されますが、こうした情報は人事担当者に知られるのでしょうか。
知られるとしたら、就職や転職時のリスクにもなるかも知れません。
官報の情報はずっと消えることはありません。
なんらかの形で企業側の担当者が官報であなたの氏名や住所を発見した場合には、残念ながらあなたの自己破産の事実を企業側に知られてしまうでしょう。
ですが、以下のような理由から官報に掲載されているあなたの氏名を見つけてしまうという可能性は極めて低いと言えます。
関連記事:官報とは!自己破産すると「官報に載る!」っていうけど、どういう意味?
官報は1ヶ月以上前の情報を見るにはお金が必要
一番心配なのは、インターネットの検索であなたの情報が見れてしまうのかどうか?ですよね。
これに関しては、自己破産の免責がでて1ヶ月ぐらいの間には独立行政法人国立印刷局が提供している「官報検索サービス」を使うと誰でも見ることができてしまいます。
ですが、この「誰でも見れる状態」になっている官報は過去1年程度だけです。
さらにインターネット上の情報の場合は1ヶ月程度です。それより以前の情報を見るためには月額で1641円〜2160円を支払う必要があるのです。
自己破産の事実があるかどうかさえわからない他人の情報を検索するためにお金を支払う人や企業はまれです。
ましてや人事部は多くの企業で忙しい部署です。
めったにいない破産者対策のために、普段から官報を分析している可能性は低いでしょう。
人事部が目にするインターネット以外の破産者情報は?
官報は新聞のような紙の発行物で、各都道府県に1箇所ある官報の発売所で誰でも入手することができます。
また、ある程度の規模の図書館であれば備え付けているところも多いです。
ただし、官報は厖大な量の情報がありますので、この中からあなたの氏名と住所を探し出すというのは非常に大変な作業です(あなたが自己破産の免責を受けた日時などが事前に分かっているなら別ですが)
自己破産情報が就職に不利になるかどうかについてのまとめ
今回は自己破産を行うことにより就職や転職活動にどのような影響があるか?について解説させていただきました。
結論的には公務員への就職の場合には影響が出る可能性がありますが、民間企業への就職の場合はリスクは低いです。
そもそも自己破産の事実を申告する必要もありませんし、自己破産の情報を採用担当者側が取得するのは難しいです。
そのため、就職希望企業に自己破産情報がバレてしまう可能性も極めて低いと言えるでしょう。