借金でどうにもならなくなった人が自己破産を行うわけですが、その自己破産もタダではありません。
自己破産は法律上の手続きなので、裁判所に支払うお金がかかります。それと弁護士にも依頼する必要があるので、弁護士費用も別途かかります。
自己破産にかかる費用をまとめます。
自己破産の種類
自己破産の費用は自己破産方法によって変わります。
ややこしいですね。
まず自己破産は以下の3種類に分類されることを知っておきましょう。
- 同時廃止
- 管財管財
- 少額管財
ざっくりイメージで掴んでもらうため、下の表をご覧ください。
一番右の同時廃止が、最もシンプルなものなので、ここから解説します。
ほとんどの人が同時廃止を利用するので、ここだけ見てもらっても良いくらいかもしれません。
ただ、家を持っていたり、20万以上の車などの財産を持っていたりすると、管財事件や少額管財になるので、なるべく全部見てくださいね。
自己破産を同時廃止で行う場合
同時廃止とは
自己破産にはいくつか種類がありますが、そのうち最も簡単な手続きが同時廃止です。
同時廃止は、借金だけあった、(価値がある)資産を持っていない人が行う手続きです。
資産を処分する必要がないので手続きが簡単なのですね。
また、手続き的にも簡単なので自己破産が認められて借金が免責になるまでの期間が短いというメリットがあります。
最もメジャーな自己破産方法で、9割程度がこの同時廃止になります。
同時廃止の費用
自己破産の費用は以下のとおりです。
収入印紙代:1,500円(破産申し立てと免責申し立てに必要)
切手代(予納郵券代):3,000円~15,000円(借金の額によって異なる)
予納金:10,000円~30,000円
弁護士費用:約27万円
総額:約30万円(分割で支払い可能)
同時廃止の費用は、予納金が1万円~3万年程度と安いことが特徴です。これが少額管財事件だと最低20万円、管財事件だと50万円必要です。
同時廃止なら最安で1万から3万って、とても安いですね。
また弁護士費用も約27万円と安く、管財事件の場合35万円程度かかります。
自己破産を管財事件で行う場合
管財事件とは
自己破産を行うときに資産が残っていた場合にとる手続きです。
資産を持っているけど、借金が多すぎて自己破産するしか無いってパターンですね。
この場合、管財事件というだけあって(裁判所が任命した)管財人が財産処分を行います。
管財人が財産を換金(換価)するために、仕事をするので、そのために管財人へお金を支払わなくなります。だから費用がかさみます。
選定された(この自己破産案件を任された)管財人は、自己破産申告した人の財産を調査して、お金に換金(換価)します。
個人事業主の方や会社(法人)が自己破産する場合は、商売に使う道具(設備)などを持っていることが多いので、管財事件で対応することがあります
管財事件に係る費用
収入印紙代:1,500円(破産申し立てと免責申し立てに必要)
切手代(予納郵券代):3,000円~15,000円(借金の額によって異なる)
予納金:最低50万円
弁護士費用:約35万円
費用総額:約90万円
予納金が同時廃止の場合と比べて跳ね上がっていますね。
弁護士費用も約10万円アップです。
少額管財事件での同時廃止
少額管財事件とは
少額管財事件は、管財事件に少し似ています。
少額管財事件とは、管財事件は管財人が自己破産者の調査を行うのに対して、少額管財事件は自己破産者の弁護士が管財人に協力することで、費用を抑えようという仕組みです。
管財事件の種類 | 調査方法 |
---|---|
管財事件 | 管財人が単独で調査 |
少額管財事件 | 管財人に弁護士が協力 |
管財人に弁護士が協力することで、裁判所に払う費用が大幅に減少して20万円程度になります。管財事件だと50万円なのでこれは大きなメリットですね。
自己破産費用が心配な人へ
自己破産を考えている人はお金がなくて借金があります。
そのため、自己破産の費用が足らなくなることはごく普通のことです。
そういう人でも、自己破産はできるように制度上設計されています。無職の人なども費用が心配だと思いますが、自己破産は収入が無い人向けの制度なので、利用する方法は必ずあります。
そのため、弁護士事務所も着手金を取らないところを選んだ方が良いでしょう。
生活保護者でも自己破産ができるくらいなので、お金がなくても自己破産はできます。
困ったら弁護士さんに相談しましょう。
自己破産費用は借りられる?
お金が無くて自己破産したい人は、費用を借りたいって人もいると思います。
はたして、借り入れたお金で自己破産は出来るのでしょうか?
現実的には、自己破産のためにお金を貸してくれって言っても銀行など金融機関から相手にされません。
貸しても、自己破産されてしまっては、貸したお金は戻ってこなくなるので。
法テラスからの借り入れなどは可能ですが、費用は基本的に分割払いできるので、お金の心配はしなくて良いでしょう。
自己破産後、生活の再建ができる期間まで、支払いは待ってもらえますよ。
夫婦で自己破産する場合の費用は2倍?
最近では、住宅ローンを夫婦で連帯保証人になって借りるパターンが増えています。
男女間の収入格差がなくなってきているので、ペアローンなどの形態も増えてきていますね。
そうなると、自己破産も夫婦同時に行うケースが増えます。
果たして、夫婦で自己破産する場合、費用は2倍になるのでしょうか。
答えとしては、夫婦で自己破産すれば、二人分の手続きをすることになるので、2倍の費用が掛かります。
自己破産は自分で申し立てできるのか
お金がないため、自分で自己破産手続きをしようとする人がいます。
自分で自己破産をやろうとする場合、まず裁判所の破産係に相談することになります。
自分の地域を管轄している裁判所に電話連絡すると、破産係に案内されることになります。
その後、債務整理関連のビデオを裁判所で見せてもらって、自分で申し立て手続きをすることになります。
自己破産を申し立てると、債権者側は何とか自分だけでも返済してもらおうとして、あなたから少しでも回収しようとします。その時、あいての圧力で少しでも返済してしまうと、偏頗返済になって自己破産が認められなくなる恐れがあります。
やはり、盾になって守ってくれる法律家(弁護士、司法書士)の存在は必要でしょう。
もし、あなたが2回目の自己破産なら、免責に至る条件が裁判所に厳しく見られるので、絶対に弁護士に依頼するようにしましょう「関連記事:2回目の任意整理って可能?最初の債務整理方法が大事」。