「官報に載る」っていうのが怖くて、債務整理に踏み切れない人も多いと思います。
でも、官報とは何かってことに正確に知っている人は少ないと思います。
そもそも、官報とは何か?
官報に載っても別にバレないので大丈夫っていうけど、なぜ?
そんな疑問に答えていきます。
「官報」とは?
官報の「官」とは国(や行政機関)って意味ですよね。「報」は報告って意味なので、「官」+「報」の「官報」は国の報告(公告)ってことになります。
官報は、ほぼ毎日発行される(ほぼ日新聞)で、基本的には政府や官庁(国や行政)の決定(国:こんな法律や規制、法令を作ったよ~)を伝えるためにあるものです。
政府(国)によるお知らせって感じですね!
その政府によるお知らせになぜ「自己破産」や「個人再生」を行った人が掲載されるかと言えば、その情報が重要だからです。
個人の「自己破産」がそんなに重要なのか?って疑問もあるかもしれません。
でも、例えば「自己破産して、もうお金を返す能力がない人」が、自己破産を隠してお金を借りようとした場合、自己破産の事実を知らないでお金を貸した人はお金が戻ってこないで損をしてしまう可能性が高くなります。
金融機関が自己破産した人って認識がないままにお金を貸すのは、フェアでないのが問題なのです。
だから「自己破産」「個人再生」を行うと官報に載るってことですね!
「官報」に載ると、世間に自己破産や個人再生したことを知られてしまう?
必要だから官報に載るってことは、官報に載ったら自己破産の事実を世間に知られてしまうのでしょうか?
世間ってひとくくりにしていますが、具体的にはあなたの家族、恋人(彼女、彼氏)、友達、会社などに知られてしまう?っていう意味です。
この答えとしては「官報」に載ったことをきっかけに、世間に自己破産や個人再生をしたことを知られてしまうことはありません。
それはなぜでしょうか?
世間に周知(公知)するために「官報」があるのに、「官報」に載っても知られないっていうのは、矛盾があるのようにも聞こえます。
でも、そんなことはないのです。
それは「官報」の持つ役割が、昔と比べて低下しているからです。
昔(明治から昭和初期をイメージして下さい)は、世の中に出回る情報がほぼありません。
あったとして、新聞くらいです。
そうした、世の中に情報が少ない環境では、「官報」の持つ意味が相対的に大きかったのです。
だから昔なら「官報」に載ってしまったら、知られてしまうリスクは多少ありました。
しかし、現在では世の中に広がる情報量は、けた違いです。
TV・ラジオの普及によって文字情報に頼らずとも大量の情報を得られるようになり、さらにインターネットによって情報の洪水状態です。
官報の情報に接する機会は、ほぼないといっても良いでしょう。
官報への載り方
官報を閲覧するには、2つの方法があります。
一つはインターネット、もう一つは紙版で見ることができます。
インターネット版は無料と有料がある
インターネットで官報を見る方法として、無料で見る方法と有料で見る方法があります。
無料と有料だったら、みんな当然無料を選びそうです。
ただ、無料版は国(国立印刷局)が運営している公式版ではなくて、民間企業が官報から情報を取得して載せているものです。
そのため、有料にはなりますが、国立印刷局が運営している公式版を見たいって人もいます。
ここでは、国立印刷局が運営している公式版がどのように表示になっているか見てみましょう。
インターネット版官報のHPを開くと以下のような「本日の官報」という表示があります。
このうち号外の箇所に債務整理(自己破産や債務整理)を行った人の情報が載っています。
号外の中を見てみましょう。
まず、省令や告示について載っています。
その下の公知に債務整理情報が載っています。
公告の諸事項の中に、裁判所▶破産、免責、再生関係という箇所があります。
この中に、掲載されていることになります。
公告の中を見てみましょう。
破産手続き開始・破産手続廃止及び免責許可申し立てに関する意見申述期間という表現で、裁判所が債務整理の決定を下した事実を載せています。
釧路地方裁判所から順番に載っています。
この図から以下の情報が載ることが分かると思います。
官報へ載る情報
官報にのる情報は以下のようなものです
あなたの住所
氏名
自己破産や個人再生が決定した年月日時
主文(自己破産や個人再生をすることに関する裁判所の決定)
届出期間(異議がある人などの届け出期間)
官報の掲載期間~いつから、いつまで載ってしまう?
官報に載ってしまうのは仕方がないとして、官報にはどんなタイミングでどのくらい載ってしまうのでしょうか?
個人再生の場合
個人再生では再生手続きが進むに従って、3回のタイミングで官報に掲載されます。
- 再生手続開始決定
- 書面付議決定
- 計画案の認可決定
自己破産の場合
自己破産の場合は以下の2回載ることになります
- 自己破産手続きの開始決定した約2週間後
- 免責決定の約2週間後
債務整理手続きとしては、自己破産のほうが重いわけですが、官報で公示される回数は自己破産のほうが少ないわけですね。
官報検索について
官報に載った情報は「官報検索」という手段で、インターネット上で検索されてしまいます。
検索方法には下の二つがあります。
- 日付検索:日付で検索する方法
- 日付検索+記事検索:日付と記事内容で検索する方法
日付検索くらいなら良いですが、記事検索で「自分の名前で検索」とかやられたくないですよね。
でも、ご安心いただきたいのは、有料サービスってこと。
官報紙(紙版の官報)を購読している人でも、記事検索には別途お金が必要です。
そのため、遊び半分であなたの名前をチェックして、自己破産したかどうかを確かめよう、なんて人はいません。
なお、申し込み方も結構面倒くさくて、官報販売所までいって申し込まなくてはいけません。
無料の官報検索は?
でも無料の官報検索もあるんでしょって人もいると思います。
たしかに、無料の官報検索もあるのですが、こちらは官報に載ってから1か月間の情報しか検索できません。
そのため、古い破産情報などは必然的に探せないので、バレる心配は低いでしょう。
図書館で見ることもできるけど
あまり知られていませんがあ、一部の図書館は官報情報を保管していて検索できます。
でも東京都内なら大崎図書館と東京都立図書館の2つだけなので、わざわざ行って検索する人はあまりいません。
コピー代(プリントアウト料)も白黒1枚25円、カラー1枚130円もかかります。
官報に載った情報はいつ消えるの?
一度官報に載った情報は実は永遠に消えません。
日本国の公文書扱いだからです。
でも、私たちが官報に載っても、見ている人が少ないからあまり困らないって説明をしてきました。
ただ、困るのは官報から「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」「JICC(株式会社日本信用情報機構)」「KSC、全銀協(全国銀行個人信用情報センター)」などの個人信用情報機関に情報が取得されてしまうことです。
よく自己破産すると個人信用情報機関に登録されてブラックリストに載るって言われますが、彼らが情報を取得しているのは官報からなのです。
- 官報に載るのはあまり困らない
- ブラックリスト入りは困る
そのため、自己破産情報が消えるのは、個人信用情報機関が情報を保持する5年から10年と考えれば良いでしょう。
官報にどうしても載りたくない人は任意整理という手段もある
官報に載ることはそれほど恐ろしくないことはご説明してきました。
ただ、闇金業者などが官報をチェックしていた、ダイレクトメールなどで営業してくるなどの煩わしさはあります。
そのため、官報にどうしても載りたくないって人もいるでしょう。
そんな人は、官報には載らない借金減額手段として、任意整理を使うのも良いでしょう。