法定金利より高い金利で借りていた人は、任意整理をすると過払い金返還請求とセットになって借金の減額効果がさらに高まります。
でも、借入先が銀行カードローンのみの場合や、消費者金融やクレジットカード会社からの借り入れ期間が短い人には、残念ながら過払い金はありません。
特性の違いを知って、自分にとってどちらがより良い方法なのかを選びましょう。
過払い金が無い場合は任意整理の効果は多少落ちる
任意整理を行う際、過払い金があると借金の減額効果が高まります。
任意整理を行う場合はまず過払い金があるかどうか弁護士が計算します。
そして過払い金が発生していれば、借金の金額から相殺します。
もし過払い金が借金額を上回っていたら、借金が全て解消された上でさらにお金が戻ってきたり、過払い金を使って他の借入先に一括返済することができ、大幅に返済総額を圧縮したりすることが可能です。
過払い金がある場合の返済シミュレーションをすると以下のようになります。
しかし、過払い金が発生している人よりは効果は多少落ちますが、過払い金が発生していない人にとっても、任意整理はある程度の効果はあります。
過払い金が無い場合もシミュレーションしてみましょう。
こちらは過払い金無しのため、元本の減少効果がないですね。
そのため、過払い金アリの任意整理と比べて、返済完了が1年ほど遅くなっています。
それでも利子がゼロになっているメリットはありますね。
利息制限法の範囲内の金利だったとしても、高めの金利の支払いがなくなるのはメリット
借り入れ期間が短いと、利息制限法の範囲内の金利での借り入れしかなく、過払い金が発生していない場合がほとんどです。
しかし、任意整理を行えば、遅延損害金や将来利息(これからかかる利息)を免除してもらったり、返済期間をのばして1回ごとの返済額を減額したり、という交渉をすることができます。
利息制限法の上限利息は、10万円以下は20%、100万円以下は18%、100万円以上は15%です。
消費者金融やクレジットカード会社は、利息制限法の範囲内といえども上限に近い金利での貸付を行っている場合がほとんどですから、借り入れ金額が大きければ大きいほど返しても返しても元金が減らないという状況に陥りやすくなります。
任意整理を行うことで、将来利息が免除されれば、返済総額が固定されますので、払っても払っても利息分にしかならない、という状況を打破できます。
もし任意整理をしなかった場合の返済シミュレーションを付けてみましょう。
金利は13%前提にしていますが、金利負担が重いのがわかりますね。
特に返済1年目や返済2年目などは、金利の負担ばかりでなかなか元本が減らないことが分かります。
典型的な利払い地獄になっていますね。
上で使った過払い金が無い場合の任意整理シミュレーションを再掲しますが、利子の支払いがないだけで、こんなにも返済が楽になるのが分かるかと思います。
任意整理で和解が成立すれば、それ以降は和解した返済方法で粛々と返せば、確実に減っていくわけです。
ゴールが見えないと非常にストレスが溜まりますが、債務整理をすることで終わりが決まるので、完済するモチベーションになることでしょう。
金利だけでなく借金元本が問題なら、個人再生も検討すべき
任意整理で利息をカットするだけでも大分返済が楽になることが分かりましたが、元本を大幅に減らして返済を楽にしたいなら個人再生という手段もあります。
個人再生なら、元本がいきなり5分の1から10分の1に減少するので、返済が大幅に楽になります。
なかでも、サラリーマンやパート勤務で収入が安定している方であれば、債権者の意見聴取の必要がない「給与所得者等個人再生申立」を選ぶことができますので、検討してみてください。
このように借金問題は、様々な解決策があります。
手続きの簡素さから一番使いやすいのは任意整理ですが、個人再生などの手段も弁護士さんに相談しながら検討してみてください。