おまとめローンとは、複数の金融機関に借金がある人が、借入先を一社にまとめるためのローンです。
通常のカードローンなどの借金は年収の3分の1を超えてはいけない、という総量規制と呼ばれる規制がかけられています。
しかし、おまとめローンはすでに多重債務状態になってしまっている人を救済するためのローンなので、総量規制の適用対象外になっている特殊なローンです。
借り手(債務者)のメリット、貸し手(金融機関)のメリットにフォーカスしてまとめます。
おまとめローンの借り手のメリット
返済日が月に一回になる
おまとめローンとは、複数の借入先がある人(債務者)が借入先を一つにするための借り入れです。
多重債務状態になっている人は、返済期限がバラバラで借金をいくら返しても、次の借金に追われるような状況になり、心理的にも圧迫されます。
A社(カードローン)に15日に返済
B社(地方銀行)に20日に返済
C社(消費者金融)に25日に返済
というふうに、断続的に返済日が続くことで、お金の管理が難しくなるうえに、何度も返済に向かわなくてはならなくなるため、大きな負担です。
そうした状態から抜け出すために、借金の借入先を一つに集約して、計画的な返済を目指すわけです。そして、返済日が月に1回だけになるため、何度も返済に向かう必要がなく、手間が減ります。また、その一回の返済に備えればいいので、家計の資金繰りも楽になるし、返済へ前向きな気持ちで取り組めるようになるでしょう。
借金の借り入れ金利の低下
おまとめローンは最も金利の低い金融機関にローンを集中できるので、金利の負担が減少するケースが多いです。
この金利の低下により、借金の総額は減らせる場合が多くあります。
借金の返済期間を長くして、月々の返済額を減らせる
一方で、返済期間を長くすることが可能であるため、月々の返済額を減少させることも可能です。
ただし、返済期間を長くした場合は、金利を払い続ける期間が長くなるため、トータルでの返済額は減少しない可能性もあります。
信用情報がきれいなまま維持できる
信用情報とは、クレジットカード会社や消費者金融・カードローン会社などとの契約内容や過去の支払い履歴などが蓄積された情報です。これはCIC(割賦販売法、貸金業法指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、全銀協の3つの組織が蓄積していて、債務の返済が滞ったり、借金の整理(自己破産、任意整理など)を行った際には、それが履歴として残ってしまいます。
すなわち、信用情報に傷がついた状態になってしまうのです。
この、信用情報に傷つくと、クレジットカードが作りにくくなったり、お金を借りにくくなったりで、様々なデメリットを受けることになります。
なんといっても現代社会を支えている金融機関から隔離されてしまうので、ネットでの買い物なども極めて不利になります。
しかし、おまとめローンは債務整理とは違うため、信用情報の履歴に傷がつきません。あくまで借金を返済するための手段ですから、金融機関もおまとめローンの利用者を悪く評価することはないのです。
おまとめローンの金融機関側(貸し手)のメリット
自分たちだけが貸し手になることで、落ち着いて回収できる
おまとめローンの主要な貸し手は、銀行や消費者金融、カードローン会社などですが、おまとめローンには貸し手の金融機関にもメリットがあります。
借金が複数に分散してしまっている債務者にお金を貸すには、他社(他の貸し手)に債務者のお金を奪われてしまわないように、急いで回収しなければなりません。
そのため、貸せる金額も限られるし、返済期限の猶予もできません。
どうしても借金回収が優先されるわけです。
しかし、おまとめローンによって貸し手が自分たちだけになれば、債務者のお金を急いで回収する必要がなくなります。
また、債務者と綿密にコミュニケーションを図り、債務者の生活改善などを通じて、お金を返せる状況を作れば、返済不履行になる可能性が低くなります。金融機関にとってトバれることが最大のリスクなわけですから。
金融機関が、お金を借りた人に親身になってくれるのは、債務者にとっても大きなメリットでしょう。
おまとめローンは総量規制の対象外のためまとまった融資ができる
金融機関がローンとして提供できる金額には、借り手の収入の3分の1以下にしなければならないという、総量規制と呼ばれる規制があります。
この総量規制は、過重債務者が生まれないようにするために導入されたわけですが、これによって貸金業者は大きな打撃を受けました。
お金を借りたがるのは既に借入金が大きい人なのに、その人への融資が制限されてしまっているわけですから、融資が伸びなくなるのも当たり前です。
しかしおまとめローンは、この総量規制の適用を受けません。
なぜなら、おまとめローンは、金利が下がるなど借り手が一方的に有利になる借り換えであり、そうしたケースでは総量規制の例外にあたります。
関連記事:総量規制時代の債務整理!借金が150万以上ある人は無理するな!
おまとめローンの審査について
通常より厳格な審査
おまとめローンは既に多重債務者になっている人に貸し出すため、通常より厳しい審査があります。また、金融機関の立場では、他社が貸し付けた分もすべて負担して貸し付けるため、リスクを一社で背負うことになるため、審査は厳格になるわけです。
ローンを集約して貸し付ける貸金業者は、厳格に審査したうえで、この人にならアドバイスなどを行うことで返済可能な状態になるっていう根拠を持ちたいわけです。
どこが厳しいのか
特に信用力を大事にする銀行系などは審査が厳しいといわれています。
それは、相対的に他社より低金利で貸し付けることが多いため、その分顧客の借金踏み倒しには敏感になるわけです。低利で貸したのに返済不履行になってしまっては、損失を被るだけですから。
反対に相対的に高金利で貸し付ける金融機関は、多少の貸し倒れには、きちん返済するほかの顧客の金利で損失の穴埋めができるため、多少は幅広い債務者に貸付が可能になります。
審査を受かりやすくなるには
借入先を減らす
おまとめローンとはいえ、あまりにも借入先が多岐にわたると、金融機関の印象が悪化します。
多重債務者としての傾向を見るって観点からだと、審査ではいくら借り入れがあるか(借金の総額)よりも何社から借り入れているか(借金の数)がより重く見られています。
・8社から200万円の借金がある人
・2社から200万円の借金がある人
上の2社では、後者が高く評価れます。
1社あたりから大きな借り入れが行うことが出来ているってことは、大きく貸し込んでいる金融機関があるってことなので、その金融機関に信用されているって評価されるわけですね。
借金は何度も返済していくと、返済が実績になり、より大きな金額が借りれるようになります。こうした信用が積み重なっているのが後者のケースと判断されるわけですね。
一方で、前者は、ほとんど返済せず、それゆえにローンの限度額が低く、結果的に複数社に借金が分散してしまっている人のように見れます。
また自転車操業しているように見えて、これは大きなマイナスポイントでしょう。
5~8社以上から借り入れがあると、多重債務者傾向が強いとみられ、消費者金融などに警戒されるといわれています。そのため審査に通るも難しいものになりやすいです。
そのため、借入先を減らしてからおまとめローンに申し込むのが定石ですが、借金で返済の余裕がない状態では、それも難しいケースもあるでしょう。
裏技的には、限度額が余裕があるところからさらに借りて、ローン残額が少ない会社の借金を返済して借入先を減らしておくって手があります。
おまとめローンを行う前に、事前まとめを行うって作戦ですね。
同時に複数のおまとめローンを依頼しない
ローンの申し込みは、CIC(割賦販売法、貸金業法指定信用情報機関)により信用情報として収取されています。
そのため、おまとめローンに申し込んだこと自体が、貸金業界全体に知られていることになります。
そのため、同時に複数の金融機関に申し込んでしまうと、信頼性を失う恐れがあります。自社に申し込んできた人が、他社にも借入の申請をしていたら、金融機関は警戒する可能性が高いです。
おまとめローンを含んだすべてのローンの申込履歴は、半年間信用情報として残ります。
この期間を過ぎれば完全にフリーですが、少なくとも他社に断られたといういいわけができる程度の期間、3か月程度は間隔を置きながら申し込んだ方がいいでしょう。
返済専用のおまとめローンもある
おまとめローンのあまりよくない使い方として、返済している最中に追加で借り入れてしまうというものがあります。
おまとめローンは当初のおまとめ時以降も借り入れることが出来るので、借金がさらにかさんでしまうパターンもあり得ます。
しかし、こうした追加借り入れ問題に対応するため、追加の借り入れができないおまとめローンもあり、セゾンファイナンス(クレディセゾングループ)などが提供しています。
おまとめローンで返済を長期化して毎月の支払額が減っても、支出を増やしてしまっては借金問題は解決しません。
借り入れできるとどうしても支出を増やしたくなってしまう人は、返済専用のおまとめローンも良いでしょう。
こんな人はおまとめローンに通りやすい
信用度の高い勤務先に長く勤めている人
金融機関は、長期の統計情報に基づいて、債務者の勤め先の種類によって、信用度のランク付けを行っています。
- 公務員
- 大手企業
- 中小企業
- 自営業(派遣社員、アルバイト)
と言われています。
これは、主に倒産リスクや転職頻度などから決められています。公務員は収入はそこまででもなくても、安定性って観点からは最強ですからね。やめる人も少ないし。
また、勤続期間は長いほうが有利です。数か月単位で転職してしまう人は、無職になって無収入になるリスクが高い人ってみなされます。とはいえ、そこまで長期の勤務履歴が必要なわけではなく1~2年程度継続して同じ組織で働いていれば十分です。
信用情報に事故履歴がない
事故情報として扱われてしまうのは、以下のようなものがあります。
・債務整理(借金の減額)
・借金の踏み倒し
・延滞(3ヶ月以上)
このような事故情報は5年または10年間保存されます。
この情報保存期間中は、金融機関の心証が極めて悪くなるため、おまとめローンの利用は難しくなります。
ここで、5~10年としているのは、信用情報機関ごとに事故情報の保存期間が違うからです。それぞれの機関の情報保存期間は、
CIC(割賦販売法、貸金業法指定信用情報機関)5年
JICC(日本信用情報機構)5年
全銀協 10年
となっています。
貸金業者は、どの情報機関にも事故情報を照会するため、10年以内に信用履歴にダメージがあると、おまとめローンは利用できないように見えるかも知れません。
しかし、業者によっては、全銀協に加盟していなかったり、情報照会しないケースもあるので、5年以内に事故情報がなければ十分チャンスがあります。
また、おまとめローンは信用事故を起こしてしまう前に、利用するように意識すれば、借り換えが随分とやりやすくなるでしょう。
おまとめローンが借りやすい時期
これも裏技的なのですが、年度末には金融機関が年度の目標を達成するため、融資を積極化するケースがあります。
さらに、転勤などの環境の変化や、子供の進学などでお金が必要な時期にもあたり、この時期に積極的な貸し出しを行うことで、金融機関の市場シェアを取ろうとする動きも加わります。
通常よりも厳しい審査が行われるおまとめローンも、こういった時期には審査が通りやすくなるわけですね。
おまとめローンを利用する流れ
最後におまとめローンを利用するまでの流れをまとめます。
まずおまとめローンの借入先を選ぶ
おまとめローンを利用しようと思ったら、まずローンを借り入れる先の、金融機関を決めなくてはなりません。
銀行やカードローン、消費者金融業者などさまざまな会社がおまとめローンを扱っているので、選ぶ範囲は広いです。
選択のポイントとしては以下のような事項を考えるべきです。
- 金利:返済金額に直結するため最重要
- 変動金利か固定金利か:固定金利で借り入れる場合は、金利変動のリスクを金融機関が持つことになるため、金利は高めです。金利上昇リスクがあるので、同じ金利なら固定金利で借りるべきでしょう。単純な金利の高い低いだけに目を奪われず、変動か固定かにも注目しましょう。
- 借りやすさ:そもそもおまとめローンを貸してくれなければ、選ぶことも出来ません。銀行のおまとめローンは基準が厳しいので自分に貸してくれそうな金融機関を選ぶことも大事です。
申込み
おまとめローンを希望する金融機関を選んだら、次にやることは申込みです。
申し込み方法については、選択した金融機関ごとに違うので、指定された方法に従いましょう。金融機関に相談すれば、申し込み方は教えてくれます。
申し込みに必要な情報
申し込み時には以下の事項をヒアリングされます。
- 氏名
- 年齢(生年月日)
- 勤務先・勤続年数、年収
- 納税状況
- 資産状況
- 住宅所有状況(賃貸か持ち家か、何年済んでいるのか、住宅ローンは残っているのか
- マイナンバー
金融機関による審査
申し込み時に申告した内容をもとに、金融機関による審査が行われます。申し込み情報については、正確に間違いの無いよう入力や記入を行いましょう。
審査については、勤務先に在籍確認の電話が入ることもあります。また、年収などを証明するための書類なども必要になりますので、準備をしておくと良いですね。
おまとめローンの契約を金融機関と結ぶ
金融機関の審査が通れば、いよいよおまとめローンの契約を行います。
契約が成立すれば、金融機関によって違いますが、当日から数日のうちには借り入れが可能になります。
おまとめローンで借りれたお金を使って、複数の借り入れ先に借金を返済し、多重債務から解放されましょう。
ただ、借金額自体は一社に集約されただけで減っているわけではないので、気を緩めず節約して、毎月の返済を行っていきましょう。
まとめ
おまとめローンのメリットと利用の流れが分かって頂いたかと思います。
みずほ銀行など大手の都市銀行もおまとめローンは提供しています。
借り換えが出来そうな人は積極的に利用したいですね。
借り換えが難しい、何度も返済遅延を起こしてブラックになってしまっている方はこのサイト(債務整理ガルガル)のメインテーマの債務整理を行ってください。
まだ借り換えられる人⇒おまとめローン
借金の元本を削減したい人、チャラにしたい人⇒債務整理
って使い分けで借金に対処しましょう。