債務整理をすれば借金が減って楽になるって知っていても、「債務整理したらお金が借りられなくなる?」などのデメリットが怖い方も多いと思います。
特に住宅ローンなどのお金が借りられなくなるのか、実際にどの程度のデメリットなのかについて見ていきましょう。
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債務整理をしてしまうと、住宅ローンは借入できない?
一度債務整理をしてしまうと、もう一生住宅ローンを借りることは出来ないのでしょうか?
答え
住宅ローンの借り入れはできます。
しかし、条件は厳しくなります。
日本国内には、3つの信用情報機関(消費者金融系のJICC、クレジット・信販系のCIC、全国銀行協会が主体の全国銀行個人情報センター)があり、お互いに情報を共有しあっています。
債務整理をすると、これらの信用情報機関が管理している情報に「事故情報」が登録されます。「事故」というのは、支払遅延や自己破産など貸す側にとって注意すべき情報のこと。
この状態を通称「ブラックリストにのる」といいます。
事故情報は、ちゃんと約束通りに返済をしなかった証拠。貸す側から見ると、確実に返済してもらえるのかな?と不安材料になりますから、貸し付ける際の条件が厳しくなるのです。
そのため、ブラックリストにのっている間は新たな借入が非常に難しいのが実情です。同じく住宅ローンも審査に通りにくいのです。
しかし、絶対に通らないということではありません。一番安い金利の住宅ローンは組めなくても少し金利の高いものならOKだったり、信用金庫や信用組合なら通るケースもあります。
但し、自己破産後免責決定前に住宅ローンを組もうとするのは係属中の破産にとって悪影響になる場合がありますので、免責決定が出るまでの間はガマンした方が得策です。
借入できない期間はどれくらい?
ブラックリストに載ると借入できなくなるというわけですが、その「借入できない期間」はどれくらいなのでしょうか?
Anser
債務整理の種類にもよりますが、
新たな借入ができない期間は5年程度~最長10年です。
信用情報機関に事故情報が載るということは、信用がなくなってしまっている状態ですから、借入を申し込んでも、非常に審査に通りにくい状態になっています。
信用情報機関に事故情報がのっている期間は、任意整理の場合は完済後5年間です。また、個人再生・自己破産の場合は、免責後から数えて、CICでは7年間、JICCでは5年、全国銀行個人情報センターでは10年です。その間は、新たな借入が非常に難しいです。
ただし、任意整理の完済や、自己破産で免責を受けたことが分かれば、金融機関によっては貸してくれるところもあります。
逆に、なんらかの原因で事故情報が消される期間が来ても、消えておらず、審査が通らないというケースもあります。審査が通らずおかしいなと思う場合は、信用情報機関に問い合わせてみるのも手です。
なお、自己破産した時の債権者に含まれていた借入先は会社自身の情報管理がありますから、期間にかかわらず、再度の借り入れはほぼできないものと考えて良いでしょう。
借入できない期間は、債務整理の手法によっても違うので、詳しくは関連記事「債務整理したらクレジットカードは使えない?」で解説しています。
カードローンや消費者金融は貸してくれる?
住宅ローンが借りられるかどうかは、上で解説しました。
でも、住宅ローンのように重要なローンではなくて、消費や遊ぶお金目的のカードローンや消費者金融は債務整理後にも貸してくれるのでしょうか?
答え
カードローンや消費者金融も貸してくれます。
先ほど説明したように信用情報機関の登録が抹消されれば、原則としては新たに借入をすることは可能になります。
しかし、利用歴が一切ない状態になってしまうので、信用が0の状態になります。情報が全くない人は貸す側から見ると、どんな人が分からないので不安、ということになりますので、審査が通らない可能性もあります。
しかし、収入が安定していて、返済が可能だと分かれば貸してくれる可能性はぐっと高まります。
クレジットカードは利用できる?
任意整理前に作ったクレジットカードは利用できます。
ただし、新規でクレジットカードを作ることはしばらくできなくなります(債務整理したらクレジットカードは使えない?ETCカードは工夫次第で対応可)。
どうしても新規で作りたくなったら、デビットカードを作るという手段もあります。
関連記事:債務整理してブラックになってもデビットカードなら作れる!自己破産や任意整理してもカードが持てるよ!
クレジット決済に関しては債務整理後にもそこまで心配しなくて良いと言えるでしょう。
中小の消費者金融はブラックリスト期間中でも貸してくれるって噂は本当?
中小の消費者金融は審査が甘いことが多いですが、ブラックリスト中でもお金を貸してくれるとのうわさもあります。
本当でしょうか?
答え:本当です。
信用金庫や信用組合は、先ほど名前を出した3つの信用情報機関に加入しておらず、独自の基準で貸付を行うかどうかを決めています。
そのため、5年や10年という情報登録期間にかかわらず、自己破産の免責決定が出た(裁判所での手続が全部終わった)時点や、任意整理による返済が終わった時点などで、すぐに審査が通るところもあります。
しかし、これも審査を申し込んでみなければわかりませんし、通らなかったとしてもその理由は原則教えてくれませんので、通らなかった理由が債務整理なのかを知る方法はありません。
家族名義なら借金できる?
家族名義なら借金はできます。
しかし、借金の返済義務は名義人にあります。
あなたが債務整理を行ったことによって、新たな借金ができなくなり、自分以外の家族名義で借金したとします。その家族の方に収入があれば、当然、借金は可能です。
しかし、その借金はあなたの借金ではなく、その家族の借金です。ですから、返済義務があるのはその家族。「あなたが家族の名義で作った業者からの借金」ではなく、「業者から家族が借金をした。その家族からあなたが借金をした。」という二重構造になるのです。
もし、あなたがその借金を返せなくなった時、債務整理をする立場になるのは、あなたではなくその家族、ということになります。
子供を大学に行かせたいんだけど、教育ローンは借りられる?
債務整理後にあなたがブラックになっていたら、教育ローンを借りることはできません。
しかし、例外があります。
それは公的な金融機関である日本政策金融公庫(JFC)では、子供が成人していて一定の収入があれば「子供名義」の借り入れができるのです。
もちろん政策金融公庫で借りなくても、奨学金を利用することもできます。
そのため、お子さんの教育のために任意整理を我慢するって必要はないでしょう。
むしろ親が借金で悩んでいる姿は見せない方が望ましいです。
債務整理後に仕事に影響はある?
Anser
ほとんどの人が影響ありません。
仕事に影響する場合があるのは自己破産をした時です。自己破産をすると、免責決定が得られるまでの間、就ける職業に制限があります。
それが、弁護士、公認会計士など「士業」と呼ばれる業務や、教育委員会、商工会議所や金融商品取引業、など。身近なところでは警備員、生命保険の営業、貸金業者、旅行業者、などです。
教員や医者、介護職などは該当していません。
しかし、ポイントは「免責決定が得られるまでの間」という点。自己破産後、免責決定は早い人なら2~3ヶ月で得られます。
裁判所も最近は免責決定までの期間を短くしていく傾向にありますので、どんなに長い人でも3年ほど。5年以上というケースはかなりレアです。
破産すると失職してしまう可能性のある人は、個人再生や任意整理、特定調停など別の手続での債務整理を選べば大丈夫です。
家族や親せきにバレて私生活に影響があるケースはある?
債務整理の中で、裁判所の手続を通さない任意整理であれば、自ら告白しない限り、誰にもバレません。
また、個人再生や自己破産であっても、官報という特殊な新聞のようなものに名前が載りますが、一般の人は官報はほとんど見ませんので、それによって親戚や家族にバレるというおそれはほとんどないでしょう。
バレるのは、ほとんどが、自分や自分の家族が他の人に話したことによってバレていくケースです。親戚にバレたくない場合は、家族にしっかり口止めしておくか、自らが家族にも秘密にするしかありません。
しかし、結婚している方の場合、妻や夫にも内緒にすると、バレた時に信頼関係が崩れるおそれがあります。自己破産や個人再生の場合、裁判所からも家族に話したかどうかを聞かれます。妻や夫には、秘密にしておくよりも、しっかり話し合うこと。そして、お互いに夫婦以外にはしゃべらない、ということを徹底するのが一番です。