生活保護は受給まで結構大変と言われますが、1度生活保護を受けても、その受給者が生活保護受給資格を廃止されることがあります。
個人の生活保護が廃止される条件、その条件を実際に生活保護を廃止されたケースをまとめます。
生活保護が廃止される場合
廃止理由は下記の通りです。
- 世帯主の傷病治癒
- 世帯員の傷病治癒
- 死亡
- 失そう(失踪)
- 働きによる収入の増加・取得
- 働き手の転入
- 社会保障給付金の増加
- 仕送りの増加
- 親類・縁者等の引取り
- 施設入所
- 医療費の他法負担
- その他理由
最後の「その他理由」はケースワーカーの指示に従わなかった場合や不正受給であった場合などが考えられます。
生活保護受給者にはケースワーカーと呼ばれる福祉事務所の職員がついて、定期的に家庭訪問を行い、収入や資産のチェック・生活について把握したり、不正受給をしたりしていないかチェックをします。
例えば、病気によって働けない方が病院に行っていなく、ケースワーカーに「病院に行きなさい」と指導されたと再三口頭や文書で注意を受けたとします。しかし、それにも関わらず指示に従わなかった場合、生活保護が最終的に廃止されることもあるでしょう。
パチンコなどを過度にやり過ぎて生活に支障が出ている場合なども、ケースワーカーが注意するでしょうね。
ただ、原則的には生活保護者でもパチンコをやってよいことになっているので、多少やるくらいなら大丈夫だと思いますが。
関連記事:生活保護受給者はパチンコをしても良いのか? 法律上はOK、でもやらない方がお得
もしあなたが現在生活保護を受給していて受給廃止されては困る場合は、ケースワーカーの指示に従う、もしくは従えなかった理由のある場合はその理由をきちんとケースワーカーに説明する必要があるといえます。
また、世帯別廃止理由とその数を拝見すると傷病者世帯・高齢者世帯を除けば、世帯主の収入の増加・取得が生活保護廃止理由のトップです。
1度生活保護になっても、生活保護受給者から抜け出すために努力されている方が多くいることは、日本の社会はまだまだ健全ですね。税金を納める立場の方からしても納得感がある状況です。
生活保護の停止とは
また生活保護には廃止のほかに、「生活保護の停止」があることをご存知ですか?
停止、というだけあって、一時的に生活保護費を止めることです。
生活保護を廃止された場合、再度生活保護を受けるにはもう1度最初から申請する必要がありますが、停止の場合は異なります。
停止の場合は、臨時収入などで一時的に生活保護費がなくても生活できるようになった方などが対象です。
臨時収入ではいつかは資金が尽きてしまうので、あらかじめその資金が無くなったらすぐに再開することが可能な制度となっています。
生活保護廃止に返還する義務はあるか?
生活保護が廃止になったからと言って、これまでもらってきた保護費を返納する必要はありません。生活が成り立たないから保護されてきたのに、その期間のお金を返せるわけもないですよね。
ただ、保護費に過払いがあった場合は、生活保護の返納金として返す必要があります。
そのため、不正受給であった場合は徴収金を払う義務があります。
そのため、特に過払いがなかった場合はもちろん返還する必要がありません。こちらに関しては貰いすぎていなければ特に問題がなさそうですね。
不正受給していたら返納しなくてはならない
高収入の人気お笑い芸人「次長課長」の母親が生活保護費を受給していて問題になった事件がありましたね。
生活できる資産や収入があるにも関わらず生活保護費を受給する、不正受給への批判はもっともです。この母親も生活保護費を返納していましたね。
平成24年3月の 厚生労働省の『社会・援護局関係主管課長会議資料』によると平成22年度の不正受給件数は25,355件で全体の1.8%です。不正受給額は128億7,425万円、金額は馬鹿にできないですが、割合は全体の0.38%になります。
不正受給している人の割合は、かなり小さいのですよね(まあ、見つかった案件だけ表に出てきているわけなので、氷山の一角とも言えますが)
まとめ
- 生活保護が受給できなくなる状況には、廃止と停止の二種類ある。
- 廃止は恒久的な生活保護受給の取りやめ、停止は一時的な取りやめ。
- 生活保護が廃止になっても、基本的には返納しなくて良い
- ただし、過払い、不正受給があった場合は返納が生活保護費の必要になる