出家詐欺。こんな言葉を耳にしたことはありませんか。
借金に困っている多重債務者を甘言葉で惑わす詐欺が、世の中にはいくつもあります。
出家詐欺も、そんな甘言の1つ。多重債務者は返済苦に陥っているため、救いの手だと出家詐欺に飛びついてしまうことがあるのです。
「出家をすれば多重債務が解決できます」
こんな言葉にご注意。多重債務者を惑わす出家詐欺とは何か、解説します。
多重債務者を惑わす「出家詐欺」とは何か
振り込め詐欺が増加しているなんて聞くと「うちにはお金がないから大丈夫」「むしろ、借金があるからターゲットにならない」なんて、自虐的な安心感を得ていませんか。
実は、世の中には、借金のある人やお金のない人をターゲットにする恐ろしい詐欺があるのです。
「出家詐欺」という詐欺になります。
お金がない。
借金がある。
こんな人も、詐欺とは無縁でいられないということです。
コラム世の中には、いろいろな人をターゲットにした詐欺が存在しています。
詐欺の中でも特に有名なのは、「オレオレ詐欺」ではないでしょうか。
お年寄りのお宅などに縁者(子供など)を装って電話をかけ「オレ、オレだよ。今、お金で困っていてね」と、お年寄りを騙してお金を振り込みさせる詐欺です。
オレオレ詐欺をはじめとした特殊詐欺の被害件数は、2010年から2017年で増加傾向にあったとか。
被害額は2018年で約356億円となっています。
平和に暮らしたい市民にとって、この被害額は嫌な意味での大盛況を表しています。
債務者がターゲット!出家詐欺の手口とは?
出家詐欺のターゲットは債務者という話をしました。これは、ある意味で正解であり、ある意味で間違いです。
なぜなら、債務者はお金がないからです。
詐欺をするからには、お金をだまし取れなければ意味がありません。
債務者を騙しても、借金の契約書しか出てこないですよね。詐欺集団からしたら、旨味がありません。
では、正確なターゲットとは誰なのか。
出家詐欺のターゲットはお金を持っている存在である「金融機関」になります。
金融機関の中でも、住宅ローンなどの高額ローンを扱っている銀行や信用金庫などが主なターゲットです。
ここで「債務者はどうなった」と思うはずです。
もちろん、債務者も登場します。
ある闇金集団がいたとします。
この闇金集団が、債務者Aに「金融機関から住宅ローンを借りてこい。住宅ローンで借りたお金で、借金をチャラにしよう」と持ちかけました。
債務者Aは借金の返済苦から逃れるために、金融機関から住宅ローンを借りて、闇金集団に渡しました。
これが出家詐欺の基本的な流れです。
要するに、闇金集団のような存在が金融機関からお金を騙し取るために債務者を利用するということ。
しかし、ここで1つ大きな疑問が生まれます。
借金をしていると、ローンに申し込んでも、借金のない人より審査落ちの可能性が高くなるのです。
多重債務者で闇金と関わりを持つような、心底お金に困っている人は、住宅ローンなどの高額ローンを借りてもまず返済できません。
金融機関は信用情報をチェックして、100%に近い確率で審査落ちさせるでしょう。
闇金に「借りてこい」と言われても、借りられるはずがないのです。それなのに借りることができてしまう。これは、なぜなのでしょう。
出家詐欺の要点は「出家」!債務者の出家により信用情報が変わる
なぜローンの借入ができてしまうかというと、それは「出家」するから。
出家して僧侶になると、手続きの上で戸籍の名前を法名に変えることができます。
名前が変わってしまうため、ローンの申し込み時に金融機関が信用情報をチェックしても、過去のブラックさや金融事故が出てこないのです。
金融機関は信用情報が真っ白な人だと勘違いし、お金を貸してしまうわけですね。債務者(出家した人)は闇金などと関係を持っているため、借りたお金はもれなく闇金や詐欺集団のポケットに入ります。
多重債務者を利用した出家詐欺の手口とまとめ
出家詐欺の手順は下のようなものです。
- 多重債務者に闇金や詐欺集団が持ちかける
- 話に乗った多重債務者が出家して、名前を変える手続きをする
- 金融機関から借り入れをする
- 借りたお金は返済や手数料などの名目で闇金や詐欺集団のポケットへ
これが出家詐欺です。
多重債務者は悪事に利用される立場ですが、罪に問われてしまう可能性があります。
多重債務だけでも苦しいのに、罪に問われてしまう。これでは、悔やんでも悔やみきれません。
出家詐欺を見破るためには?相談先と注意点
出家詐欺に引っかかってしまわないために、注意点と相談先を知っておきましょう。
返済に苦しんでいる時は、藁にもすがりたいもの。
しかし、甘言に頷いてしまうと、取り返しのつかないことになってしまいます。
ワンテンポ置いて、冷静に考えてみましょう。そして、しかるべきところに相談しましょう。
信用情報を綺麗に!借金帳消し!こんな甘言に要注意
借りたものは返す、あるいは法律に則って整理することが基本です。
出家詐欺を誘う甘い言葉
- 「信用情報がすぐ綺麗になりますよ」
- 「借金が帳消しになりますよ」
このような甘言に乗らないようにしましょう。
最悪のケースでは、罪に問われた上に借金の返済も・・・という、さらに苦しい状況に陥る可能性があります。
甘い言葉には裏があるのです。
出家詐欺ではないかとピンと来たら警察に相談を
出家詐欺では、実際に逮捕者が出ています。
逮捕者が出たということは、警察の方でも情報を把握しているということ。
甘い言葉で誘われて「これって出家詐欺?」と思ったら、警察に相談しましょう。
同じ地域に住んでいる他の債務者にも出家詐欺の声がかかっている可能性があります。
地域の警察に相談しておけば、自分自身だけでなく誰かを助けることにも繋がるのです。
多重債務の解決法も見つかる可能性あり!弁護士に相談を
そもそも、信用情報や借金について藁にでもすがりたくなってしまうのは、返済苦に陥っているからではないでしょうか。
債務を整理し、人生の新しいスタートを切ることができれば、甘い言葉に惑わされることもなくなるはずです。
返済苦の状況を解決する方法としては、債務整理などがあります。弁護士に相談し、法律に沿った適切な方法で解決しましょう。
出家詐欺で多重債務の解決は難しい!事態が悪化する前に相談を
出家詐欺は債務者が飛びつきたくなるような「信用情報が綺麗になる」「返済苦から解放される」といった言葉で勧誘するところが特徴です。
現実は、そんなに甘くありません。出家詐欺に関わってしまうことで、事態がより悪化してしまう可能性も・・・。
出家詐欺の甘い言葉に惑わされないためにも、弁護士などの専門家へと早めに相談しましょう。悩みの大元である借金を解決することが重要です。