特定調停を裁判所に対して申し立てると、裁判所側が債権者との話し合いの場をセッティングしてくれます。
ここで理解したいのは、裁判所は話し合いの場を提供してくれるだけで、強制的に借金の免除や減額を決定してくれるわけではないことです。
強制的に借金を減らしてくれる自己破産とは、特定調停は全く異なる制度なのです。
特定調停の特徴として、債権者側が合意をしない場合には借金減額を認めてもらえないということがあります。
だから、特定調停では、債権者との話し合いのやり方が大事です。
ここでは、どのような場合に特定調停が失敗になるケースがあるのかを考えてみましょう。そして、特定調停をうまく成立させるコツを述べます。
実際の進め方を見たいって人は、下の関連記事をご覧ください。
債権者と合意できないケース
特定調停は債権者側の合意が得られないと成立しない
特定調停では、裁判所が債権者と話し合う機会を作ってくれます。
話し合いでは随時裁判官が合意がうまく結ばれるようにアドバイスをしてくれますが、返済計画の作成などは自分で行う必要があります。
特定調停は債権者側の合意がないと成立しないため、「どのような返済計画であれば債権者側は同意してくれるだろうか?」ということを考えながら話し合いを進めていくことが必要です。
そのため、下の要素から債権者が納得する返済案を作れなければ、話し合いは成立しません。
特定調停で債権者を納得させる
- 毎月の収入と年収
- 毎月の支出(特に固定費)
- 資産
- 負債
- 将来の家族構成
特定調停を減額を成立させるためにできることは?
特定調停の手続きでは、債権者側と合意に至れるように話し合いを行います。
債権者側との話し合いでは以下のような点に注意しておくと合意できる可能性が高くなるでしょう。
自分の収入や財産についての情報は正確に開示しよう
債権者側がもっとも気にしているのはあなたの収入や財産の状況です。
勤務先から発行される源泉徴収票や給与明細、銀行口座の通帳などを提示する事で「借金の減額さえしてもらえれば、完済をすることができます」ということをアピールする必要があります。
安定的な収入である給与収入から、返済が無理なく行えそうなら、特定調停が成立する可能性は高まります。
現実的な返済計画を提案しよう
特定調停では、減額してもらう借金の金額だけではなく、特定調停成立後の返済計画についても話し合いを行います。
毎月いくらのお金を返済するかによって、返済を行っていく期間が決まります。
例えば、100万円のお金を返済していくのに、毎月5万円の返済額を設定すれば20ヶ月(1年と8ヶ月)で返済計画を終了する事ができます。
ですが、上記の場合で毎月5000円という返済額を設定した場合では200ヶ月(16年以上)という非現実的な返済期間になってしまいます。
特定調停が利用できるかどうかの大きな基準の一つに、借金が3年以内に返済できるか、というものがあります。
申立人(あなた)が、3年以内に返済できる再建計画を練ることが、特定調停の合意には求められるわけです。
もちろん借金の減額幅を大きくして、200万円の借金を10万円にしてくださいって言えば済むってわけではありません。
10万円まで借金を減額してしまったら、債権者側は大損してしまうので、特定調停が成立しなくなります。
債権者が金融機関(銀行や消費者金融など)である場合には、各社とも「この返済額であれば合意できる」という基準が決まっているものです。
金融機関の担当者を相手に特定調停の話し合いを行う場合であれば、そうした基準額についても事前に聞いておくと話し合いはスムーズに進むでしょう。
ただし無理は禁物です。
特定調停後の滞納は非常にまずいので、債権者が認めてくれる範囲で、無理のない再建計画としましょう。
任意整理に変更することも検討しよう
任意整理は特定調停と似たような制度です。
そのため、特定調停で債権者と合意できる人なら、任意整理でもうまく話を運べば債務整理が可能な場合も多いです。
任意整理は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行うのが普通ですが、利息の免除などの形で特定調停よりも有利な条件での合意が得られる可能性が高くなります。
最終的には弁護士さんと相談した方が良いですが、特定調停で合意できそうなら、任意整理でも債権者と合意できる可能性が高いことは意識しておくべきです。