特定調停を行い、借金の減額を認めてもらった後には、減額してもらった借金を分割返済していくことになります「関連記事:特定調停についての基礎知識」。
特定調停の場合、減額後の支払い遅延は何としても避けたいところです。
特定調停は任意整理などと違って、減額合意後の延滞についてはすぐに強制執行などの方法をとることが可能になってしまいます。
ここでは特定調停後に支払い遅延をした場合にどのようになるのか?について解説させていただきます。
特定調停後の滞納は即アウト
特定調停がいったん成立すると、債権者側は裁判所から「調停調書」という公的な書類を取得します。
調停調書は裁判所の判決と同じような効力を持つ書類です。
もし特定調停が成立した後に支払滞納をしてしまった場合には、債権者側はこの調停調書に基づいてただちに強制執行の手続きをとることができます。
給与口座が差し押さえられる可能性も
強制執行というのは具体的にはお給料口座の差し押さえや、所有しているマイホームを強制的に競売にかけるといった手続きのことです。
特定調停が成立した後に支払い遅延をしてしまうと、債権者側は遅滞なくこのような手段をとってくるものと考えておく必要があります。
給料が差し押さえられれば、生活に大きな影響が出ます。
家族に知られたくない場合でも、必ず借金の存在がバレてしまいます。
非常に困る給料の差し押さえですが、債権者側から見たら確実に毎月お金が得られる給料の差し押さえは非常に魅力的です。
また、債務者(あなたの事です)が困れば困るほど、なんとか借金を返済しようと思うものなので、給料の差し押さえは有効なのです。
滞納した場合、最悪、給料が差し押さえられると考えましょう。
調停手続きの段階で現実的な返済計画を作ることが大切
以上のように、特定調停が成立した後の返済遅延には厳しいペナルティが課せられてしまいます。
そのような事態に陥らないようにするためには、特定調停の話し合い時点で返済計画をしっかりとねっておく事が大切です。
もちろん、債権者側は毎月少しでも多くのお金を回収しようとしてきます。
自分の最低限の生活費を確保しつつ、債権者側から合意を得られる金額を見極める事が大切になります。
実際にお金が払えない時にはどうしたらいい?
このように「支払い遅延は絶対に避けるべき」ということはわかっていても、現実問題として支払うためのお金がない…という状況になってしまうことはありますよね。
そのような場合には、遅滞なく債権者側に「どうしても今月はお金を支払うことができない」ということを伝えるようにしましょう。
次回に支払う日をきちんと約束すれば強制的な処置は待ってもらえる可能性があります。
お金を貸す人の常識として、滞納時に連絡をくれる人は、最終的には借金を返してくれる人、という考えがあります。
そのため、お金がない旨を事前に連絡して、善後策を協議できる相手には、あまり強硬な手段は取らなくても良いと考えます。
感情的にも、人間的にきちんとしている人には、できれば穏便な対応をしてあげたいと思うものです。(ただし、強硬な債務者もいないこともありません)
2回目の支払い遅延はかなりヤバい
特定調停成立後の支払い遅延については2回以上続いた場合には直ちに強制執行をかけてくる債権者が多いです。
お給料口座を差し押さえられてしまって生活費を支払うことができない…といったような事態に発展しないよう、特定調停後の支払い遅延は絶対に避けるようにしましょう。
特定調停は、このように「借金減額後に支払い遅延があるとすぐに強制執行をかけられる」という意味で債権者側にとって使いやすい制度と言えます。
反対に言えば、債務者側、特定調停を請求する側は、借金減額後はかなり注意してお金を振り込んでいかなければならないということです。
滞納しても強制執行には至らない任意整理
債務整理の方法は特定調停だけではなく、より債務者側(お金を借りている側)に有利な任意整理のような方法があります。
これは、任意整理が(特定調停と違って)債権者と債務者の間での協定であり、法的な拘束力を持たないことが原因です。
そのため、滞納してしまったときのことを考えると、特定調停よりも任意整理の方がおすすめです。
関連記事:任意整理後の返済!一括返済は出来る?遅れたら?今月だけ払えないときは必ず連絡!
任意整理はほとんどのケースで弁護士や司法書士に依頼して行う必要があるため、こうした専門家に支払う費用が発生するというデメリットがあります。
ただし、任意整理の相談をできる弁護士や司法書士の事務所では費用支払いを後払いや分割払いにしてもらえるケースがほとんどですので、いまは手元にお金がなくて困っているという方も検討してみる価値はあるでしょう。
特定調停後の滞納についてのまとめ
今回は、特定調停で借金を減額してもらった後に支払い遅延をしてしまった場合について解説させて頂きました。
特定調停でいったん合意が結ばれると、その後に支払い遅延があった場合には債権者側はただちに強制執行に入ることが可能になります。
債権者に強制執行をかけられると、お給料などが振り込まれる口座が差し押さえられてしまうこともありますので注意が必要です。
特定調停後の滞納については、絶対に避けるべきことだと考えてください。
特定調停成立後にも支払いを期日通りに行うことに不安がある場合には、任意整理などの別の債務整理方法も選択肢に入れると良いでしょう。
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