夜逃げの理由は様々です。DVなど人間関係が原因ならまだしも、借金を理由にした夜逃げは絶対にやめてください。
夜逃げは、健康保険などの社会保障と切り離されるデメリットがあまりにも大きいのです。
借金返済問題には債務整理で法律にのっとって対応しましょう。
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夜逃げの典型的方法
通常の引っ越し業者に依頼すれば足が付くリスクが伴います。
このため、典型的な夜逃げ方法は、夜逃げ屋を利用するものです。最近では、夜逃げ案件を引き受けてくれる引っ越し業者もありますので、そちらを利用します。
夜逃げ屋と呼ばれる引っ越し業者は、夜逃げ案件のプロフェッショナルであり、秘密裏に各作業を行いますので、誰にも知られないうちに移転することができます。
一般的に夜逃げを実行するには、準備として1ヵ月程度は必要になりますが、持ち出すものや、やり残した作業等が少なければ、最短1日で夜逃げすることも可能です。
料金は、時間帯や早急性、荷物の重さ・量、移転距離、事案の特殊性などによって変わってきますが、様々な諸事情を考慮して、移転先の紹介から確保、荷物の一時預かり、夜逃後のライフラインの後始末等まで引き受けてくれるところもあります。
ただし、一般的な引っ越しより高額な費用が必要になります。
夜逃げ後も借金の返済義務は残る。債務者に怯える日々はツライ
夜逃げの準備が整った後は、不動産契約の解約と解除が必要になります。
もし、家財道具等を放置したままであったり、家賃を滞納したまま夜逃げを実行すると、親兄弟や連帯保証人等に迷惑をかけることになります。
夜逃げをするとしても、決して周りの人に迷惑をかけてはいけませんので、残留物を見落とさず、滞納している家賃はきっちりと支払っておくようにしてください。
また、建物や部屋の原状回復するためにかかる費用も支払う必要が出てきます。
注意が必要なのは、貸金業者は常に住民台帳をチェックしていますので、住民票を移動した時点ですぐ取立てにやってきます。
このため、夜逃げ後は業者側に住所がバレないように住民票を移動することができません。
もし、奥さんが連帯保証人になっている場合は、奥さんも同様ですが、住民票が移動できないと公的サービスを利用できません。た
とえ連帯保証人になっていない場合でも、子供がいるのであれば、自治体から各種手当てを受けたり、子供を転校させて通学させるためにも離婚の必要が出てきます。
仕事がない。バイトや日雇いくらいか。
夜逃げ後に大きな問題になるのは就職先がないということです。
企業に入社する際は必ず住民票の提出を求められますし、最近では、様々な業種で本人確認が厳しくなっていますので、住民票も提出できないような夜逃げした人を雇ってくれる会社はなかなかありません。
現実は、夜逃げ後はまともな仕事に就くことができず、唯一の雇先は日雇いや住み込み、アルバイトくらいです。
いままで会社勤めをしていた人からすると、工事現場での肉体労働は肉体的にも精神的にも非常に厳しいものがありますし、日当の相場はわずか6,000円から8,000円程度、バイトだと時給850円程度と、かなりの薄給です。
最近では、インターネット上で仕事ができるクラウドソーシングもありますが、もともとインターネット関連の仕事に就いていないのであれば、クラウドソーシングだけで食べていくことは不可能です。
借金取りに怯えながら暮らさなければいけませんので、日常生活に様々な支障が出てくることは間違いありません。
夜逃げすると、金融業者は時効の中断を求める
借金には時効があるということをご存知の方も多いと思います。
このため、夜逃げ後、数年間逃げ切れれば借金が時効になると考えているかもしれませんが、これは大きな間違いです。
金融業者は、債務者の夜逃げにとても敏感ですし、取り立てのプロフェッショナルです。夜逃げした事実はすぐに察知されてしまいます。
すぐさま金融業者は、法的に借金の時効を中断できる「時効の中断」という手続きによって借金が時効になることを阻止します。
時効の中断とは、時効期間の進行を中断させることができる制度です。
時効が中断されると、それまで進行していた時効期間がリセットされることになり、時効中断の日からさらに10年が経過しないと消滅時効が成立しません。
さらに、時効期間が経過したとしても消滅時効の援用をしなければ、借金を帳消しにすることはできません。
このため、たとえ夜逃げが成功したとしても、借金がなくなることはなく、一生逃げ続けなければいけません。
健康保険にも入れず、大きな病気になったら終わる
健康保険は、住民票がある場所でなければ加入できません。
また、健康保険は転送不要郵便で行いますので、夜逃げ前に住んでいた住所を管轄する自治体から健康保険所を受け取ることもできません。
健康保険の利用期間内であれば、病院で治療する際に健康保険を利用することができますが、金融業者は多彩な情報網を構築していますので、バレてしまうリスクを考えると利用しない方が賢明です。
夜逃げ後に病院で検診・診断・治療を受ける場合は、健康保険が使えないので10割負担することになります。
風邪やちょっとした怪我の場合はまだしも、問題は大きな病気にかかったときです。
大きな病気になり入院が必要になってくると、健康保険なしのすべて自己負担で入院治療費を支払うとなると、かなりの高額な料金を請求されますし、お金がない、ましてや夜逃げした患者を無償で受け入れてくれるような病院はありません。
必然的に多くのお金を借り入れる必要が出てきますので、夜逃げ後は「大きな病気=終わり」と言っても過言ではありません。
夜逃げの追跡業者もいる
住民票を移動しなければ、絶対に夜逃げ後の住所がバレないということもありません。
夜逃げした人を追跡する専門業者も存在します。
追跡業者は、親兄弟、親戚、友人知人、会社関係など、様々なところから常に情報収集を行いますし、ありとあらゆる手を使って夜逃げ後の住所を割り出そうとします。
もし、夜逃げ前に夜逃げのにおいを察知していれば、盗聴器をしかけることだってします。
追跡業者を回避するためには、以前まで付き合いしていた友人知人等と連絡をとることはできませんので、結果的に縁を切るほかありませんし、親兄弟に連絡するときも電話番号で追跡されないように公衆電話を使用する必要が出てきます。
夜逃げに失敗すると借金が増える
夜逃げ屋も夜逃げを手伝うプロであるように、金融業者も夜逃げを阻止するプロです。
たとえ夜逃げ屋に依頼したとしても、絶対に夜逃げが成功するという保証はありません。追跡業者によって引っ越し先がバレてしまった場合でも、その間の利息は増え続けています。
また、夜逃げに失敗しても夜逃げ屋に支払う費用がゼロになるわけではありませんし、その他夜逃げに必要になったお金は全て無駄に使っただけに終わってしまいます。
夜逃げのために新たに作った借金と元々あった借金の利息元金が積み重なり、夜逃げを決行する前より借金が増えることになります。
さらに、夜逃げに失敗すると、債権者は今まで以上に取り立てを続けることになり、支払わないとなると強制執行によりわずかに残っている資産もほとんど差し押さえられてしまいます。
夜逃げに成功しても、家族の生活ボロボロ。ローンも組めない。
借金返済に追われる日々をリセットして、まったく知らない土地で生きれば楽になる、と考えてしまうのが夜逃げをする人の心境です。
言うまでもありませんが、夜逃げ後の生活は惨憺たるものです。当然、ローンを組むことはできませんので、必要なものがあってもすべて一括払いで購入しなくてはいけません。
夜逃げして得られるメリットは決して考えているほど大きなものではありません。
かえって夜逃げのデメリットの方が大きかったと痛感することになるでしょう。
大きなハンディキャップを背負ったまま生きてくのはとても辛く、夜逃げを実行した人のほとんどに待っているのは悲惨な末路しかありません。
借金問題は債務整理すればすべて解決
夜逃げすること自体は違法ではなく、警察は民事不介入ですので、捕まることはありません。
が、夜逃げ費用を作るために意図的に借金を作り、明らかに悪意を持って返済しないと詐欺行為に当たり捕まる可能性もあります。
それでは、借金を解決できる、最善の手立てとは一体なんなのでしょうか?
夜逃げの必要は一切なし
本来であれば夜逃げを選択する前に、債務整理を検討すべきです。借金で悩んでいる人は、債務整理の専門家に相談することが借金を法的に解決できる唯一の道であることを知っておかなければいけません。
債務整理の方法には、主に、任意整理、個人再生、自己破産の3つがありますが、債務整理を行うことで、正式に借金を大幅減額できたり、借金を全額免責にすることができます。
簡単に説明すると、任意整理は、将来利息をカットしたり借金額を減額できる手続きです。
個人再生は、借金を5分の1まで大幅免責できる手続きです。自己破産は全ての借金を免責できる手続きです。
夜逃げをしても借金はなくなりませんし、その後もずっと借金取りに怯えて暮らさなければいけません。
これに対して債務整理を行った場合は、取り立てに悩まされる日々から解放され、借金生活からはれて再スタートを切ることができます。
さらに、債務整理を利用して借金を減額又は免責にしたとしても、ブラックリストに登録される期間は5年から最長でも10年だけで、登録期間が過ぎれば再びローンを組むことができますし、銀行などから借入もできます。
借金の相手が違法業者なら闇金対策専門の弁護士に依頼しよう
もし、借金の相手が闇金業者などの違法業者の場合は、闇金対策専門の弁護士に相談することで、借金問題を簡単に解決できます。
違法業者は貸金業登録をしていないケースがほとんどですが、最近では、貸金業登録をして、あたかもまっとうな貸金業者であるように装うこともあります。
とは言え、貸金業登録の有無にかかわらず年109.5%以上の法外な利息で貸付契約を行った場合は、当該貸付契約は無効となります。
つまり、借金がすべてチャラになります。少しでも利息が高い、おかしいと感じたら、専門の弁護士に無料相談するようにしてください。
また、違法業者であれば、その後の報復が心配という人も少なくないと思います。
なかには、これが原因で、違法業者であることはわかりつつも、弁護士に相談できないという人も少なくありません。ですが実際は、そんな心配は一切必要ありません。
違法業者は、アルバイト感覚の末端の若者を利用していますし、公の場に現れることは、即逮捕ということになりますので絶対にありえません。
あるとすれば電話でワーワー叫ぶくらいです。電話番号を変えてやるか、反対に叱り付けてあげてください。
まとめ
借金をどこで作ったのか、借金総額はいくらなのか、が問題ではありません。
夜逃げ後の悲惨な生活を考えると、債務整理なんて天の助けのようなものです。どのような経緯であれ、まずは借金に関する法律に精通する専門の弁護士に無料相談することが解決への道です。